奈良県内の政治経済情報を深掘

2020.1.27掲載  コラム「而今」
奈良の経済活動のネックになっているのがいわゆる「高さ制限」だ。建設する建物の高さに厳しい制限があるため、進出するホテルなどが部屋数を多く作れず、採算が取れない▼この高さの制限は奈良で経済活動をする人たちが長年にわたっていわば我慢し、古都の景観を守ってきた。開発行為には上だけでなく、下には遺跡調査もあり、奈良は経済活動不毛の地とされてきた▼大阪市、京都市などが1人200円程度の宿泊税を既に導入しており、奈良市も検討している。早ければ来年度から導入したい考えでいる。これについては市議会、民間事業者で是非が二分している▼奈良観光の特徴は日帰り。宿泊してくれる観光客は相対的に少ない。長年にわたって先人が経済活動を続けながら守ってきた景観をはじめ、歴史・文化を見てもらうのが流れだ▼宿泊税の導入においては「実質の値上げで死活問題」との声も上がっているが、さまざまな制限の上に成り立つ景観などの受益者は誰かと考えるとき、それは県民ではなく、観光客であることも事実だろう。 (包)
menu
information