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2020.2.17掲載  コラム「而今」
 桜井市の伝統産業といえば、何といっても手延べの「三輪そうめん」。11月から翌年の3月まで寒さの厳しい早朝からそうめんづくりが始まり、2日目に天日の下で乾かされる▼大和盆地特有の乾いた風が麺(めん)の合間をぬう。それが小麦の風味を豊かにし、強いコシを生み出す。が、天候に恵まれて風の強くない日を除いては、室内で乾燥させる▼麺が乾いたら均等に切断。束にして箱詰めする。おもし(素麺師)が責任をもって製品の最終確認をし、工程が終了。その後、通気性の良い木箱に詰められたそうめんは、食べ頃になるまで長期熟成される▼三輪そうめんは、大神神社祭神の子孫、穀主(たねぬし)が三輪の小麦と湧(わ)き水で作ったのが起源とされる▼近年、天日干しの光景が、ほとんど見られなくなった。コシと旨みを誇るほんまもんの三輪そうめんは、出荷量で揖保乃糸(兵庫)に大きく水をあけられた▼県三輪素麺工業協同組合は「原点回帰」と、県産小麦100%の新そうめんを1年前に完成させた。契機に、ほんまもんの味を外国人の口にぜひ届けてほしい。 (寺)
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