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2020.3.2掲載  コラム「而今」
「上様(うえさま)」―。江戸幕府第8代将軍・徳川吉宗をヒーローにした時代劇『暴れん坊将軍』が流行った時代、よく聞いた呼称である▼実はこの呼称の起源は中国。古代中国では、帝(みかど)は「上様」と呼ばれていたことから、日本史に登場する天皇や将軍を「上様」と呼称するようになったらしい▼それがやがて、商人にとって上の立場となる顧客への敬意を払う意味で、いつの間にか領収書に「上様」と使用されるようになったと言われている▼『暴れん坊将軍』の話ではなく、安倍晋三首相の「桜を見る会」前日の夕食会会場ANAコンチネンタルホテル東京が出した領収書のことだ。宛名は「上様」と記され、参加者が受け取っていたことが明らかになった▼確定申告のシーズン。領収書の宛名が「上様」でいいのか、とさえ思う。衆院予算委員会で、こんな委員の質問に国税庁次長は「税制上特段の定めはない。総合的に判断する」ときっぱり▼領収書に「上様」、空欄がまかり通る社会に、ピリッと引き締める〝成敗(せいばい)〟も妙案かも。 (寺)
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