奈良県内の政治経済情報を深掘

2020.8.10掲載  コラム「而今」
 MMT(現代貨幣理論)が最近、国内外で注目を集めているが、「インフレにならない限り、財政赤字に悪影響がない」というのだ▼ふつう、日銀が発行する国債の引き受け手がなければ、財政破綻してしまうと思いがちだが、ところがそうでもない。お金を創ることで、借入が増えて預金も増える。それによって通貨は成り立っているという▼政府が国債を発行して事業を行えば、国内にお金が出るので政府の借金も増える。同時に民間の資産預金も増える。つまり、いつまでたっても破綻はしないというのだ▼日銀の黒田総裁は、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて導入した企業の資金繰り支援策について、来年3月末としている期限の延長を検討する方針を示した。県内でも売上が落ち込み、前年を下回っている中小企業が多い▼日銀の緩和続行を歓迎する声も多いが、6月末の長期国債の保有残高は478兆円。大規模緩和を始める前の7年前と比べて5倍以上に膨らんでいる▼とはいえ、民間に預貯金が貯まりすぎているところに、経済が動かないこともおさえておきたい。    (寺)
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