奈良県内の政治経済情報を深掘

2021.5.17掲載  コラム「而今」
 全く信じられない出来事が起こった時によく使われる言葉に「青天の霹靂(へきれき)」という故事成語がある▼霹靂は突然鳴り出した雷のことで、「あめかんむり」は雷を意味し、霹の「辟」や靂の「歴」は耳をつんざくような雷の大きな音を表す。青森県産初の米最高評価「特A」にも同名のブランド米がある▼県内を含め、全国で約1400店舗を構える地域に身近なドラッグストア「スギ薬局」を展開する「スギホールディングス」(愛知県)。この創業者の会長と妻の相談役の新型コロナワクチン集団接種に、同県西尾市が予約の便宜を図っていた。まさに青天の霹靂▼奈良県内でも、高齢者のワクチン接種に動きがみられるようになった矢先のこと。込み合う電話予約を経て、ようやく、やっとの思いで接種日が確定した人もいる。特定の人物に便宜を図る行為は、耳を塞ぎたくなる▼同市副市長は「事もあろうに、誤った判断をしてしまった」と陳謝した。しかし当事者が「事もあろうに」とは、主客転倒している。「青天の霹靂」には変わりない。 (寺)
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