奈良県内の政治経済情報を深掘

2024.2.5掲載  コラム「而今」
 平成7(1995)年に発生した阪神・淡路大震災の犠牲者の約8割が、家屋の倒壊によるものだった。その後の専門家の調査で、倒壊原因の多くが、柱が土台である基礎部分から浮き上がって外れる「ほぞ抜け」だということがわかった▼住宅の耐震補強を行うにしても、その費用は高額になりがち。築年数や劣化具合、床面積などによって異なるものの、耐震補強工事は約150万円かかるといわれており、築40年以上になると200万円以上かかるケースも多い▼1月に発生した「令和6年能登半島地震」でも多くの住宅が倒壊。被害が甚大な石川県珠洲市などは高齢者が多く、費用負担が足かせとなり耐震改修が進んでいない実態が背景にあると専門家はみている▼政府の中央防災会議は、南海トラフ巨大地震における奈良県内の被害想定は、死者約1300人、全壊棟数3万8000棟と想定。うち死者の30%が建物の倒壊によるものとされる▼いつ起こるのかはわからないものの、必ず起こるとされる地震。住宅の補強は、命を守るための備えだが、地震大国のわが国は住宅に費用がかさむ。  (佑)
menu
information