奈良県内の政治経済情報を深掘

2024.4.1掲載  コラム「而今」
 県は先月末に国の天然記念物「奈良のシカ」を巡り、駆除ができるエリアを拡大を検討する方針を決めた▼農林水産省が発表した令和4年度の野生鳥獣によると全国の農作物被害は約156億円。またその被害で最も多くの割合を占めるのがシカによるもの。実際、宇陀市ジビエ施設で取材した際にも、主にシカによる農作物被害が多いと聞いた▼「奈良のシカ」は、お辞儀をするしぐさなどが観光客に愛され、また神の使いとして手厚く保護されている。しかし、あくまで野生動物。農作物被害にあっている農家側にとっては、追い返すだけしかできないシカはやっかいな存在になっている▼県や各自治体では新年度予算案などが計上された3月議会が閉会し、きょうから新年度がスタート。県議会では予算案の修正案が提出され可決。一方で山下真知事は「基本的な方針は変えない」との考えを示し、抗戦の構え▼今年も間もなく吉野山で下千本から順に桜の花が満開を迎える。県民にとって〝やっかいな存在〟が現れない年度になり、安定することを切に願う。      (梅)
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