2025.6.2掲載 コラム「而今」
自公が基礎年金の底上げで合意した。増税とセットのこの〝朗報〟に、国民の反応は複雑だ。「やっと」という安堵と「またか」というあきらめが入り混じる▼年金が増えても物価高に追いつかず、消費税に食われる構図は変わらない。「底上げ」と言うが、底が抜けているのではないかと疑いたくなる。少子化対策も労働力確保も後回しで、対症療法ばかり▼政治家は増税による年金改善を「解決策」と胸を張るが、国民の半数以上が制度への不信を募らせている。過去のツケを現在進行形で支払わされ、将来への不安はますます膨らむ▼国民が望むのは持続可能な年金制度。だが、示されるのは一時的な対応や小手先の策。根本的な構造改革には手をつけず、問題の先送りが続く状況も相変わらず。これでは「解決」ではなく、単なる「延命」にすぎない▼そういえば、政治家たちは退職後も議員特権で厚遇されると思いきや、実はわれわれと同じ年金制度の船に乗る。自分たちの老後も不安なはずなのに、なぜこんなに楽観的なのか。それとも、不安はないのか。(佑)